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07.12
Sun

① 新国立競技場の拙速な建設費2520億円決定に、影響力があった森喜朗氏らラグビー関係者

 2020年に開催される東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設費が、2520億円という、世界に例がない、巨額なものになると言う。

 これについて、全国紙各社も、
 「新国立競技場 無謀な国家プロジェクト」 (2015年7月8日、毎日新聞社説)
 「新国立競技場 代償伴う愚かで無責任な決定」 (2015年7月9日、読売新聞社説)
 「新国立競技場 これでは祝福できない」 (2015年7月8日、朝日新聞社説)
 「この新国立競技場を未来へ引き渡せるか」 (2015年7月10日、日経新聞社説)
 などと、強く批判している。

 また、読売新聞が7月3日から5日に実施した、全国世論調査によると、81%の国民が新国立競技場の建設計画を見直すべきだとしている。

 「2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画を『見直すべきだ』と答えた人は81%に達し、『そうは思わない』の14%を大きく上回った」 (2015年7月5日、読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150705-OYT1T50078.html

 そうした圧倒的多数の見直しを求める国内世論の中、新国立競技場の建設主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は、7月7日、将来構想有識者会議において、総工費2520億円を了承し、近く施工業者と契約し、10月には工事着工、2019年5月完成を目指すとのことだ。

 この強行な姿勢、拙速ぶりは一体何なのか。

 そう言えば、有識者会議の主要メンバーである、森喜朗氏は、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だけでなく、(公財)ラグビーワールドカップ2019組織委員会副会長でもある。
 また、森喜朗氏を筆頭とする「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」は、2011年2月15日、「国立霞ヶ丘競技場の八万人規模ナショナルスタジアムへの再整備に向けて」の決議を採択している。
https://www.rugby-japan.jp/2011/02/16/id9900/

 さらに、JSC理事長の河野一郎も、日本ラグビーフットボール協会、国際ラグビーボード(IRB)の理事を務め、日本協会の会長であった森氏らとともに、ラクビーワールドカップの日本招致に動いた人物である。
 JSCや有識者会議は、ラグビー関係者の影響力が極めて強い組織と言える。

 因みに、ラグビーフットボール競技では、7人制ラグビーが2016年の夏季五輪の追加種目に初めて選ばれているが、オリンピックのメイン競技ではない。

 拙速な新国立競技場の建設費2520億円の決定は、五輪よりも2019年9月~10月に日本で開催される、ラグビーワールドカップの会場として、新国立競技場の使用を間に合わせることを優先した、「ラグビー関係者=JSCと有識者会議の決定」と言って過言ではない。

② 新国立競技場、日本人の感性に合う「コックス案」に変更を

 さて、新国立競技場のデザインに選ばれた、サハ氏の案について、審査委員長であった安藤忠雄氏は、

 「日本の閉塞的な状況を打ち破る意味でも、ワールドカップやオリンピック、そして壮大なスケールのエンターテイメントができることを期待している」、「最優秀案は相当な技術力が必要である。これが日本でできるとなれば、世界へのインパクトがある。材料、工法、構造技術、設備技術について、日本の優秀さを世界にアピールできて、世界中の人たちから注目を集めることができたら素晴らしい」 (2014年6月4日、日経アーキテクチャア) http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140603/665311/

と期待感を示している。

 実際にスタジアムを使用する競技者や観客、国民の利便性の視点がないのは一体なぜなのか。安藤氏とは、そもそもそういう人物なのか。
 スタジアムは、日本の建築技術力を世界にアピールするような、国威発揚の場ではない。
 機能性が何より重視され、維持管理に国民に膨大な負担を、将来に渡って残すような物であったとしたら、失格である。

 新国立競技場の国際デザインコンクールにおいて、設計者には、1300億円の予算が提示されていたという。
 しかし、安藤忠雄氏が審査委員長として選んだ「ザハ案」は、その後、2013年に3000億円と試算され、2014年には計画縮小した案が1625億円、翌2015年にはそれが3000億円に跳ね上がり、最終的に2015年6月29日に2520億円と変遷している。
 縮小した案ですら、3000億円という膨大な試算がでた時点で、もはや「ザハ案」は失格とするのが、妥当であり、筋ではないのか。

 菅官房長官は、記者会見で「安易にデザインを変更することは我が国の国際的信用を失墜しかねない」 (2015年7月8日、読売新聞) と言っているが、すでに、新国立競技場のデザインは、オリンピック誘致のプレゼンテーション時の流線型のカブトガニのような斬新なフォルムから、船を転覆させたような、足のない甲殻類のようなものに変容している。
 当初予算をはるかに越え、五輪史上最悪の価格上昇を招いている現在のデザイン案こそが、五輪開催都市の財政負担軽減を謳ったIOCの「アジェンダ2020」の精神にも反しており、「国際的信用」を損なうものではないか。

 また、安倍総理も「これから国際コンペをやり、新しいデザインを決めて基本設計を作っていくのでは時間的に間に合わない。2019年のラグビーワールドカップには間に合わないし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも間に合わない可能性が高い」 (2015年7月10日、NHK NEWS WEB) とし、デザインが変更困難との認識を表明している。その一方で、プリッカー賞受賞の世界的建築家・槇文彦氏は、自ら対案を示し、建設費は1000億円程度で、42カ月(3年6カ月)の工期で建設可能であるとして、ラグビーワールドカップにも間に合うとしている。オリンピックまで5年、ラグビーワールドカップまで4年2カ月までの時間があることを考えれば、安倍総理の「間に合わない」は説得力がないのではないか。
 
 著者は、一つの案として、一度行われた国際デザインコンクールに一定の理解を示し、最優秀作品候補の中から、次点、優秀賞に選ばれた「コックス・アーキテクチャー案」を繰り上げ当選とし、この案を軸に、コスト条件、工期条件を満たすかを精査したうえ、新国立競技場のデザインを再決定するよう提言したい。これによって、再びコンクールを行う時間のロスも無くすことが出来る。

 「コックス・アーキテクチャー案」のスタジアムのデザインは、親しみのある卵形で、透明な健康的で明るいフォルムに覆われている。スタンドは木製で、日本を意識し、寺社建築からヒントを得たものという。屋根も可動式になっている。 (コンサート使用を目的とした屋根は、場合によっては不要と思う)
 何より日本人の感性に合うデザインであり、反対する人はほとんどいないと思われる。国民に愛されるスタジアムになれるのではないか。

 また、「コックス・アーキテクチャー案」は、素人見では、技術的問題点も見当たらず、建設が容易に見える。工期が短縮されれば、材料費は別として、当然、コストの6割を占めるという人件費が押さえられ、大幅なコストダウンが見込める。
 ザハ氏の案では、キールアーチの巨大な構造から、コスト増大だけでなく、工期も予定より2カ月遅れとなったが、この案は技術的にも保障され、予定工期内の建設が見込める。

 この案は、コンクール審査において、「最も完成度が高く、変更が生じてもコンセプトが大きく崩れない提案である」「ナショナルスタジアムとしての品格と、イベントを行うフレキシビリティがある。完成度が高く、技術的にもギャランティーできる」「オリジナリティにはかけるが、シンプルで建設しやすい」 (2014年6月4日、日経アーキテクチャア より抜粋) http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140603/665311/
などと評価されている。

 もちろん、日本の優秀な建築家によって提案され、多くの専門家にも認められる案であれば、それを軸に見直すのが最善と考える。


finalist_work_1_img コックス

【新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクール 優秀賞 コックス・アーキテクチャー】
 



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