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10.15
Sun
 新たに実施されることになった新国立競技場の設計、建設業者のコンペの参加受付が、9月18日締め切られるということだが、今回の公募は、設計と施工一体で募る方式のため、参加に意欲がある建築家でも、実際に組む建設業者が見つからず、苦慮していると報道されている。

 「二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の事業者の公募で、建築家の間で『応募したくてもできない』という不満が広がっている。今回は設計と施工を一体で募る方式で、ゼネコンと組まなければ応募できないからだ」 (2015年9月13日、東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015091302000135.html

 白紙撤回の元になった、競技場に巨大な橋を架けるような、奇をてらったデザインではなく、日本で開催されるオリンピック・パラリンピックに相応しいスタジアム、周囲の環境、景観と調和したスタジアムが選ばれることを望みたいものである。

 ところで、東京オリンピック開催の理念の一つに、東日本大震災からの復興があったはずだ。解体された国立競技場の聖火台が被災地の宮城県石巻市に貸与され、復興の象徴として市内に設置されたという話題があったものの、震災からの復興と結び付くものが、オリンピック開催準備の中から、他にほとんど見られない。

 見直しされる新国立競技場のデザインだが、2012年の国際デザイン・コンクールにも応募された建築家・伊東豊雄氏は、東日本大震災以後、復興のために建築家ができることは何なのか、建築とは何なのかを真摯に問い、被災地と向き合い、「みんなの家」建設プロジェクトに取り組まれている。

 不自由な仮設住宅暮らしを強いられている人々が、集まり、憩える空間、「みんなの家」を被災地各地に11軒作られている。 (2014年9月まで)

 震災からの復興に真摯に取り組み、実践されている建築家である。

 また、伊東氏は、スタジアムの設計にも多く関わっており、台湾・高雄市では、周囲の公園と一体になった開放的なスタジアムを造っている。
 前回の国際デザイン・コンクールの際の案では、周辺環境との調和を考慮し、スタジアムの高さは50メートルに抑えられ、天井には太陽光パネルを設置するなど、省エネに配慮され、維持費の軽減も計っていた。さらにピッチの芝の育成とアスリートが競技しやすいように、十分に大きい開口の屋根を設置していた。
 また、伊東氏が、1997年、秋田県大館市に造った「大館樹海ドーム」は、ドームの屋根に25000本の秋田杉を使っており、国内最大の木造建築と言われる。

 伊東豊雄氏なら、スタジアムとは何かを真に見つめ、ランドマーク的なデザインに走ることなく、街に調和したスタジアム、日本らしさを取り入れたスタジアムを造るに違いないと思う。

 東京オリンピック開催の理念の一つ、東日本大震災からの復興をアピールするうえでも、復興への取り組みを真摯に実践された、伊東豊雄氏が新国立競技場の設計者に相応しいと考えます。



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08.16
Sun
 6月25日、2020年東京五輪・パラリンピックに向けて新設された五輪担当相に就任した、遠藤利明衆議院議員は、記者会見で、新国立競技場について「(2019年)ワールドカップと五輪に間に合わせることが大事」 (2015年6月26日、日経新聞) と強調した。本来、五輪のメーンスタジアムとしての競技場の完成を最優先にすべき担当大臣が、直接の所轄以外のラグビーワールドカップに、なぜ言及しているのか。

 遠藤五輪相は、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長で、ラグビーワールドカップ2019組織委員会副会長、日本ラグビーフットボール協会前会長でもある森喜朗元首相と、同じ文教族の関係にあり、学生時代(中大)、ラグビーを経験しており、そのラグビーが縁で、師弟関係にあるという。

 「東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相とはラグビーを縁に師弟関係を結び……」 (2015.6.26 産経ニュース)
 http://www.sankei.com/politics/news/150626/plt1506260006-n1.html

 また、2010年11月、「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」が設立された際、総会で設立趣旨を説明するなどした中心人物で、2011年2月15日、この議員連盟は、「国立霞ヶ丘競技場の八万人規模ナショナルスタジアムへの再整備に向けて」の決議を採択している。
 https://www.rugby-japan.jp/2010/11/07/id9081/
 https://www.rugby-japan.jp/2011/02/16/id9900/

 言ってみれば、遠藤五輪相は、森氏側近の、生粋のラグビー関係者である。
 
 また、新国立競技場の建設主体である、スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長は、日本ラグビーフットボール協会、国際ラグビーボード(IRB)の理事を務め、日本ラグビーフットボール協会会長であった森氏らとともに、ラクビーワールドカップの日本招致に動いている。 (JOC、五輪・パラリンピック組織委員会でも理事に就いている)
 河野氏も森氏に極めて近いラグビー関係者である。

 一方、新国立競技場の建設の直接の責任者である下村文科相は、早大出身で学生時代、雄弁会に所属ており、大先輩である森喜朗氏との関係により、清和会に入っている。また、安倍総理の側近でもある。

 「雄弁会の大先輩・森喜朗元首相との関係で清和会に入った」 (2014年10月9日、日刊ゲンダイ)
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153946/2

 この下村文科相は、14日国会で、新国立競技場で開催しなければ、今後の国際大会の円滑な招致が困難という、説得力のない理由で、ラクビーワールドカップの開催場所は変更できないと答弁している。
 http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150714-00000081-nnn-soci
 
 ラクビーワールドカップで、新国立競技場は、開幕戦と決勝の2試合のみが行われる予定だが、この僅か2試合のために、総額2520億円の建設費と、将来、維持管理に莫大な負の遺産が国民に残されることになる。
 建設費はさらに増え、歩行者デッキに72億円、五輪後の開閉式屋根の取り付けに168億円掛かることが判明している。

 「現在、総工費は2520億円まで膨張している。ただ、その中には五輪後に設置が先送りされた開閉式屋根(168億円)などの費用は計上されていないほか、競技場周辺の歩行者デッキ(72億円)などの費用が含まれていなかったことが、新たに分かっている」 (2015年7月14日、スポーツ報知)
 http://www.hochi.co.jp/topics/20150714-OHT1T50148.html

 さらに、五輪開催都市の舛添東京都知事は、当初、会場計画を既存施設の利用に見直し、約2000億円を削減したが、新国立競技場に関しては、なぜか、2520億円のスタジアム建設に賛成した。
 新国立競技場建設についても、IOCの「アジェンダ2020」の精神に沿った、周辺環境に配慮し、国民負担、都民負担の少ないナショナルスタジアムを建設するよう、積極的に文科省やJSCに要望すべきではないのか。
 それが、五輪開催都市の知事の役目ではないか。

 6月18日に、舛添氏は、森喜朗氏にハチミツをプレゼントされ、その際、何か釘を刺されたとの報道があった。

 「『これを食べて、甘くなりなさい』。森会長が故郷・石川のハチミツを渡すと、知事は満面の笑みを浮かべた。だがこの直前の非公開の会談の中で、森会長は厳しい口調で舛添知事をたしなめたという。組織委幹部は言う。『森さんに釘を刺され、知事は焦っていた』」 (2015年7月9日、朝日新聞)
 http://www.asahi.com/articles/ASH786JRQH78UTQP01R.html

 森喜朗氏の策略により、舛添都知事を含む、新国立競技場の建設に関わる主要メンバーは、すべて森氏に近い人物に占められたようである。

 このまま新国立競技場が、現在の案のまま建設されると、2020年東京オリンピック・パラリンピックに影を落とし、国民から歓迎されない大会になってしまうのが、危惧され、憂慮される。


 <追記>
 7月15日、夕刻の報道によると、政府は2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画を見直す検討を始めたとのことだ。

 「政府は2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画を見直す検討を始めた。複数の政府関係者が15日、明らかにした。」 (2015年7月15日、毎日新聞)
 http://mainichi.jp/sports/news/20150716k0000m010059000c.html

 一方、森喜朗氏は、31日からクアラルンプールで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で、英国の建築家、ザハ案を元にした現行計画を報告する予定と言っている。

 「大会組織委員会が、31日からクアラルンプールで開かれる国際オリンピック委員会(IOC)総会で、英国の建築家、ザハ・ハディド氏のデザインを元にした現行計画を報告することが14日、分かった。これにより、今後の設計変更はほぼ不可能となる」 (2015年7月14日、産経ニュース)
 http://www.sankei.com/politics/news/150715/plt1507150003-n1.html

 今後、組織委員会会長で、ラグビーワールドカップ2019組織委員会副会長である森喜朗氏への説得などが必要のようである。

 デザインが国民、都民が納得でき、建設費も国民が同意できるものに見直されるのか、今後の動きを注視する必要がありそうだ。




07.12
Sun

① 新国立競技場の拙速な建設費2520億円決定に、影響力があった森喜朗氏らラグビー関係者

 2020年に開催される東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設費が、2520億円という、世界に例がない、巨額なものになると言う。

 これについて、全国紙各社も、
 「新国立競技場 無謀な国家プロジェクト」 (2015年7月8日、毎日新聞社説)
 「新国立競技場 代償伴う愚かで無責任な決定」 (2015年7月9日、読売新聞社説)
 「新国立競技場 これでは祝福できない」 (2015年7月8日、朝日新聞社説)
 「この新国立競技場を未来へ引き渡せるか」 (2015年7月10日、日経新聞社説)
 などと、強く批判している。

 また、読売新聞が7月3日から5日に実施した、全国世論調査によると、81%の国民が新国立競技場の建設計画を見直すべきだとしている。

 「2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画を『見直すべきだ』と答えた人は81%に達し、『そうは思わない』の14%を大きく上回った」 (2015年7月5日、読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150705-OYT1T50078.html

 そうした圧倒的多数の見直しを求める国内世論の中、新国立競技場の建設主体である日本スポーツ振興センター(JSC)は、7月7日、将来構想有識者会議において、総工費2520億円を了承し、近く施工業者と契約し、10月には工事着工、2019年5月完成を目指すとのことだ。

 この強行な姿勢、拙速ぶりは一体何なのか。

 そう言えば、有識者会議の主要メンバーである、森喜朗氏は、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長だけでなく、(公財)ラグビーワールドカップ2019組織委員会副会長でもある。
 また、森喜朗氏を筆頭とする「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」は、2011年2月15日、「国立霞ヶ丘競技場の八万人規模ナショナルスタジアムへの再整備に向けて」の決議を採択している。
https://www.rugby-japan.jp/2011/02/16/id9900/

 さらに、JSC理事長の河野一郎も、日本ラグビーフットボール協会、国際ラグビーボード(IRB)の理事を務め、日本協会の会長であった森氏らとともに、ラクビーワールドカップの日本招致に動いた人物である。
 JSCや有識者会議は、ラグビー関係者の影響力が極めて強い組織と言える。

 因みに、ラグビーフットボール競技では、7人制ラグビーが2016年の夏季五輪の追加種目に初めて選ばれているが、オリンピックのメイン競技ではない。

 拙速な新国立競技場の建設費2520億円の決定は、五輪よりも2019年9月~10月に日本で開催される、ラグビーワールドカップの会場として、新国立競技場の使用を間に合わせることを優先した、「ラグビー関係者=JSCと有識者会議の決定」と言って過言ではない。

② 新国立競技場、日本人の感性に合う「コックス案」に変更を

 さて、新国立競技場のデザインに選ばれた、サハ氏の案について、審査委員長であった安藤忠雄氏は、

 「日本の閉塞的な状況を打ち破る意味でも、ワールドカップやオリンピック、そして壮大なスケールのエンターテイメントができることを期待している」、「最優秀案は相当な技術力が必要である。これが日本でできるとなれば、世界へのインパクトがある。材料、工法、構造技術、設備技術について、日本の優秀さを世界にアピールできて、世界中の人たちから注目を集めることができたら素晴らしい」 (2014年6月4日、日経アーキテクチャア) http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140603/665311/

と期待感を示している。

 実際にスタジアムを使用する競技者や観客、国民の利便性の視点がないのは一体なぜなのか。安藤氏とは、そもそもそういう人物なのか。
 スタジアムは、日本の建築技術力を世界にアピールするような、国威発揚の場ではない。
 機能性が何より重視され、維持管理に国民に膨大な負担を、将来に渡って残すような物であったとしたら、失格である。

 新国立競技場の国際デザインコンクールにおいて、設計者には、1300億円の予算が提示されていたという。
 しかし、安藤忠雄氏が審査委員長として選んだ「ザハ案」は、その後、2013年に3000億円と試算され、2014年には計画縮小した案が1625億円、翌2015年にはそれが3000億円に跳ね上がり、最終的に2015年6月29日に2520億円と変遷している。
 縮小した案ですら、3000億円という膨大な試算がでた時点で、もはや「ザハ案」は失格とするのが、妥当であり、筋ではないのか。

 菅官房長官は、記者会見で「安易にデザインを変更することは我が国の国際的信用を失墜しかねない」 (2015年7月8日、読売新聞) と言っているが、すでに、新国立競技場のデザインは、オリンピック誘致のプレゼンテーション時の流線型のカブトガニのような斬新なフォルムから、船を転覆させたような、足のない甲殻類のようなものに変容している。
 当初予算をはるかに越え、五輪史上最悪の価格上昇を招いている現在のデザイン案こそが、五輪開催都市の財政負担軽減を謳ったIOCの「アジェンダ2020」の精神にも反しており、「国際的信用」を損なうものではないか。

 また、安倍総理も「これから国際コンペをやり、新しいデザインを決めて基本設計を作っていくのでは時間的に間に合わない。2019年のラグビーワールドカップには間に合わないし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも間に合わない可能性が高い」 (2015年7月10日、NHK NEWS WEB) とし、デザインが変更困難との認識を表明している。その一方で、プリッカー賞受賞の世界的建築家・槇文彦氏は、自ら対案を示し、建設費は1000億円程度で、42カ月(3年6カ月)の工期で建設可能であるとして、ラグビーワールドカップにも間に合うとしている。オリンピックまで5年、ラグビーワールドカップまで4年2カ月までの時間があることを考えれば、安倍総理の「間に合わない」は説得力がないのではないか。
 
 著者は、一つの案として、一度行われた国際デザインコンクールに一定の理解を示し、最優秀作品候補の中から、次点、優秀賞に選ばれた「コックス・アーキテクチャー案」を繰り上げ当選とし、この案を軸に、コスト条件、工期条件を満たすかを精査したうえ、新国立競技場のデザインを再決定するよう提言したい。これによって、再びコンクールを行う時間のロスも無くすことが出来る。

 「コックス・アーキテクチャー案」のスタジアムのデザインは、親しみのある卵形で、透明な健康的で明るいフォルムに覆われている。スタンドは木製で、日本を意識し、寺社建築からヒントを得たものという。屋根も可動式になっている。 (コンサート使用を目的とした屋根は、場合によっては不要と思う)
 何より日本人の感性に合うデザインであり、反対する人はほとんどいないと思われる。国民に愛されるスタジアムになれるのではないか。

 また、「コックス・アーキテクチャー案」は、素人見では、技術的問題点も見当たらず、建設が容易に見える。工期が短縮されれば、材料費は別として、当然、コストの6割を占めるという人件費が押さえられ、大幅なコストダウンが見込める。
 ザハ氏の案では、キールアーチの巨大な構造から、コスト増大だけでなく、工期も予定より2カ月遅れとなったが、この案は技術的にも保障され、予定工期内の建設が見込める。

 この案は、コンクール審査において、「最も完成度が高く、変更が生じてもコンセプトが大きく崩れない提案である」「ナショナルスタジアムとしての品格と、イベントを行うフレキシビリティがある。完成度が高く、技術的にもギャランティーできる」「オリジナリティにはかけるが、シンプルで建設しやすい」 (2014年6月4日、日経アーキテクチャア より抜粋) http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20140603/665311/
などと評価されている。

 もちろん、日本の優秀な建築家によって提案され、多くの専門家にも認められる案であれば、それを軸に見直すのが最善と考える。


finalist_work_1_img コックス

【新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクール 優秀賞 コックス・アーキテクチャー】
 




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